ソフトウェア開発、放送・通信関連技術開発、電子書籍関連開発、ライセンシング事業

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2010年3月31日

総務省『ICT経済・地域活性化基盤確立事業(「ユビキタス特区」事業)』ハイブリッド型デジタル出版流通の基盤技術開発

■ プロジェクト名
ハイブリッド型デジタル出版流通の基盤技術開発

■ 実施期間
平成20年10月 – 平成21年3月

■ 組織名
株式会社インフォシティ、ハイブリッドeBookコンソーシアム

■ 背景と目的

通信・放送連携の分野において大きな取り組みであるコンテンツ流通ビジネス、その中でもいわゆる「電子書籍市場」はこの2,3年立ち上がりつつあると言われている。
しかし、この市場は出版市場全体から見ると未だ2%程度に過ぎず、またその市場の内容についてもそのほとんどが携帯電子コミック、さらに言えばあまり一般的でないジャンルの携帯コミックが主要な売上げを占めているのが現状である。
この市場規模に留まっている理由として下記のような課題を挙げることができる。

〔 供給サイド 〕
現在の携帯電子コミックビジネスを例にあげると、出版社やコンテンツプロバイダなどの供給サイドは、原本のデジタルスキャン・オーサリング、配信などの工程を端末ごと、通信事業者ごとに毎回やり直さなければならず、デジタル技術を活かしたいわゆる「マルチユース」が可能な環境になっていない。
デジタルスキャンしてマスターを制作する場合も、販売するために最終的なコンテンツを制作するにしても、またコンテンツ保護を行うにも、機種、キャリアなどによって個別となっており、その標準仕様が不在である。例えばDVD市場と比較してみるとその標準仕様の不在がわかりやすい。
このような環境であるため量的な供給や戦略的な投資が行いづらい状況となっている。

〔 利用サイド 〕
同様に携帯電子コミックについて利用者側の不満としては、まずコンテンツ代金を払ってコンテンツを購入しても、通信事業者の変更、場合によっては機種の変更をしただけで代金を払ったコンテンツが読めなくなってしまうという点が挙げられる。
つまり通常の「本を購入する」ということはできず、「携帯サイトサービスを利用している」という形態であるため、本を購入したという所有満足感も生じることはない。
また、そのサービスを利用する場合でも、通信の帯域の関係から一度に一冊をダウンロードして読むことはできず、読書環境にも制約が多い状況となっている。
これでは書籍に代金を払って購入する価値に疑問が残る。

一方、アメリカにおいては、音楽コンテンツ分野におけるAppleの成功と同様に、デジタル出版分野ではAmazonのKindleが成功を収めつつあり、Googleの同分野への取り組みが開始されるなど、今後の巨大市場への展開が急となっている。

我が国としては、コンテンツ制作分野、高機能携帯電話、ゲーム機端、及び専用読書端末の機器分野、そして高度な通信インフラなど、世界的にデジタル出版市場をリードする素養は十分に備えていると考えられる。
したがって、供給サイドがデジタル出版に踏み出すためのデジタルマスター、ネットワーク販売やパッケージ販売など多様な流通を可能とするコンテンツ流通形態、利用サイドが購入したコンテンツを多様な端末で楽しむことができる汎用使用品形態などを一貫して実現するために標準技術仕様の開発が必要である。
また、標準技術仕様に従ったサービスの確立によって多くのプレイヤーの市場参加が可能となり、デジタル出版市場における世界的をリードすることができる。

上記を鑑み、電子書籍などのデジタルコンテンツ関係事業者における取組を加速的に促進することを目的とし、電子書籍などのデジタルコンテンツ市場の活性化に寄与する一助として、まずは「ハイブリッド型デジタル出版流通の基盤技術開発」に取り組む。

■ 実証実験の概要

【参考】
『ICT経済・地域活性化基盤確立事業(「ユビキタス特区」事業)』に係る委託先候補の決定

LINK>>


実証実験概要 【PDF】>>